不動産管理

コロナ 賃料減額に応じるかわりに定期賃貸借契約

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家主「賃料減額に応じるから、定期賃貸借契約で結びなおしましょう」

コロナ禍の影響で賃料減額交渉を家主に行ったとします。

これに対し家主の思考内容は次の通り。
・いかなる理由でも賃料減額は一切応じない。
・本音は賃料減額したくない。
・非常事態なのでできる限りの協力をしたい。
・なぜ家主が損害を肩代わりしなければならないのか。
・営業が良い時は追加で賃料をもらえるのか。
・飲食テナントが破綻したら次に出店する人はいないのではないか。
・長期的にみれば減額してでも続けてもらった方が良いのではないか。
・減額がしばらく続くのではないか。
・減額してもどのみち破綻するのではないか。
・退去してもらいたかったのでちょうどよい。
・日頃の対応が悪いのでこの際退去してほしい。

いろんな考えがあると思います。
上記の中で結果的に賃料減免に応じる人は、現テナントに継続して営業していってほしいと考えている人です。

一方で、退去してほしいと思っている家主もいます。
この場合、賃料減額はおろか、逆に賃上げしてきた家主もいると聞いています(汗

さて、冒頭の、
「賃料減額に応じるから、定期賃貸借契約で結びなおしましょう」

と回答があった方もいるのではないでしょうか。
この場合の真の意図について考えてみたいと思います。

まず、定期賃貸借契約とは一言で言うと”更新が無い契約”です。たとえば、賃貸借期間5年と定められていた場合、5年たったら必ず契約は終了し、更新はされません。

契約が終了したときに、まだお互いが賃貸借契約を続けていいよ、となれば、更新ではなく”もういっかい新たに契約を結ぶ”ことになります。

一方、”普通”賃貸借契約の場合は更新されていきますから、テナントは営業を継続したい場合は気のすむまで期間を更新できます。こちらは借主の権利が強い契約。

この違いが重要。
定期賃貸借契約は家主側に有利な契約です。
期間満了したら家主が合意しない限り、そこで契約は終了です。

つまり、
・将来建物を建て替えたい
・マナーを守れないテナントは退去してもらいたい
・別の業態に賃貸したい
などの思惑がある家主には定期賃貸借契約がピッタリなのです。

定期賃貸借契約に結び直した場合、テナント側は将来的に物件を使用できなくなることを覚悟しなければなりません。

ちなみに、なんの理由もなく定期賃貸借契約にしたがる方もいますけどね。テナントさんが継続したい限りずっと使っていてもらって構わないと考えていたとしても、やはり家主有利の契約ですし、定期賃貸のテナントは無茶・横暴ができなくなるという効果が見込めるので。(何年か毎に首切りがあるため)

さて、ここまでは検索していただければいろんなサイトで説明されている内容だと思います。

 

法律の解釈リスクはないか?

(僕は、家主借主どちらからも依頼・相談を受ける立場です。下記は一方に肩入れした内容ではありません。貸主と借主どちらもきちんと理解していないと痛い目を見ますよ。)

個人的にちょっと気になるのは、
このコロナ禍の非常時に、賃料減額要望につけこんで切り替えた「定期賃貸借」に異議を唱える人があらわれたら?
ということです。

 

少しでも長く営業したいテナントは、多少無茶でも理由をつけて退去を引き延ばす

普通賃貸借契約から定期賃貸借契約に切り替えることは、双方の合意があれば有効です(例外あり)。

将来、期間が満了して家主が再契約に応じず退去の要請があったときに、生活のかかっている借主は、

(当時は理解していたとしても)
借主「いや、そんなつもりで切り替えた訳じゃない。あの時はコロナの影響があって、営業を継続するためにはやむを得ず家主の提案に従うしかなかった。弱みに付け込んだ横暴だ!正常な判断ができなかったし、理解していなかった。裁判する!」

となったらどうなるでしょうか。

裁判はどう転ぶかなんてわかりません。定期賃貸借契約に関する裁判例はたくさんあるので検索していただくとして、中にはこれが無効になるんだみたいな判例もあったり(借主が説明を受けたけど十分に理解していなかったとか)、なおさら今回のような誰も経験したことのない非常事態時に交わされた特別な事情のある契約って前例がないですし。

 

定期賃貸借契約を理解していることの証拠を残す

借主側としては定期賃貸借の内容を十分に理解した上で契約するようにしてください。理解できるまで何度も質問しましょう。将来の退去リスクを負えないなら定期賃貸借で契約するべきではありません。もっとも、将来のことよりも今の営業を継続していくことを優先したい方もいるので一概には言えませんが。。。

家主側としては「定期賃貸借契約がどういうものか借主に十分理解してもらい、客観的にみても借主が理解していたといえるような証拠を整える」ことが重要だと思います。

「定期賃貸借契約ですからね!」という説明では十分ではなく、

「定期賃貸借契約だから更新はなく、期間満了したら退去しなければなりませんからね!3年契約なら3年間で退去しなきゃいけない場合もありますからね!」

(おまけ)
最近の契約書には、合意までの経緯を記載することもよく見かけます。
たとえば、「借主は、貸主に対し、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い営業売上が著しく減少したことを理由に、普通賃貸借契約を定期賃貸借契約に変更することを容認してまでも月額賃料を〇か月間半額にすることを求めた。貸主は当初これを拒否したが、再三にわたる借主の提案を受けこれを承諾した。」※文言は適当です。
実際にこのような契約があったわけではありませんが、書き方ひとつで印象は変わります。法律の専門家ではないので詳しくはお近くの弁護士さんにご相談ください。

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