マンションPER 価格と賃料のひずみ

 
マンションPERで不動産どうなる
最近の自粛生活の影響で、自宅でヒマを持て余している人が増加しているんでしょうね。仕事帰りに家電量販店に寄り道してipadの在庫を訪ねるも完売&入荷予定なし。娯楽アイテムがのきなみ品薄みたい。急に湧いて出た可処分時間をどう使うかは人それぞれですが、僕の古くからの友人たちはついに株式投資に目覚め始めたようです。
毎夜、僕を講師としてZOOMで初心者向け投資セミナーを開催しています(笑)。
新しいおもちゃを見つけたかのように、友人たちは貪欲に手法や投資用語を勉強しているみたいです。株式の評価指標であるPBRやPERも理解してきたようで、共通のテーマを語り合いながらお酒を飲むのがとっても楽しいです。
PER=株価÷1株あたり当期純利益
現在の株価は、年間の利益の何倍に相当するか、という指標。株価が1000円、1株あたり利益が50円なら、PERは20倍です。過去のPERと比較したり、何年で回収できるかなどを知るためのモノサシとして使用します。
このPERという概念を不動産投資にも採用できないでしょうか

マンションPER

「マンションPER」とはマンション1戸当たりの収益力をはかる指標で、東京カンテイが考案したものです。
株式投資のPERと同じ考え方で、
マンションPER=物件価格÷収益
となります。何年で物件価格の元がとれるか、と考えるとわかりやすいですね。
東京カンテイから最新のデータが届きました。いつも大変勉強になります!感謝。
勝手にアップするわけにもいかないので詳細は元データを参照いただくとして、いつものように地元名古屋に絞って読み解いていきたいと思います。非常に興味深いデータになってます。

名古屋市・中部圏のマンションPER

2005年からの推移を見ると、PERの平均値は徐々に高くなっています。2005年から2009年まで上がり続け、そこから下落。2012年を底に再び上昇し、2019年時点の最新データまで上昇を続けています。日本の景気の波(不動産価格の波)と連動していますね。
マンションPERの推移2005年:14.46 (集計開始時点)2009年:20.07 (リーマンショック)2012年:17.70 (リーマンショック後底値)2019年:22.26 (最新)
PERが高くなるということは、回収までの期間が長くなることを意味し、収益性が落ちていると言い換えることができます。
収益性をはかる指標として「利回り」の方がわかりやすいという方は次のように変換してみてください。利回り=1÷マンションPERPERが22.26の場合は1÷22.26で4.49%
好況時にはマンション価格が上昇し賃料も上昇するはずなのですが、PERが高くなっていっているということは価格の上昇に賃料の上昇が追い付いていないことがここでも確認できます。(地価の上昇に遅れて賃料が上昇する)
鉄道路線図に色分けされた図です。これを見ると、丸の内、久屋大通、今池、御器所、東山公園、星が丘、上社、いりなか、でPER24以上と高い数値になっています。
マンションPERの式を再確認します。価格÷収益(賃料)
 
ここで中部圏のマンションPERランキングを見てみましょう。
PER低い=割安ランキング
  1. 浜松(静岡)
  1. 東岡崎(岡崎市)
  1. 伏見(名古屋市中区)
  1. 高岳(名古屋市東区)
  1. 瑞穂区役所(名古屋市瑞穂区)
PER高い=割高ランキング
  1. いりなか(名古屋市昭和区)
  1. 上小田井(名古屋市西区)
  1. 星が丘(名古屋市千種区)
  1. 丸の内(名古屋市中区)
  1. 瑞穂運動場(名古屋市瑞穂区)
非常に興味深い結果になってます!!!
割安ランキング3位に伏見(名古屋市中区)が入ってるのに、伏見の隣の駅である丸の内が割高ランキング4位に入っています。
都心はもちろんマンション価格が高いですが、高くても賃料がとれていればPERは下がります。つまり、同等の価格帯でも賃料相場や競合物件の多少によって差が出る(収益性に差)ということです。投資家目線では、「価格の割に賃料がとれる」エリアの選定に役立つ、おもしろいデータですね。