賃貸マンション 敷金・礼金の全国調査結果
賃貸マンションの敷金・礼金の全国調査結果
「全国の賃貸マンションの一時金共同調査結果」東急住宅リース株式会社、ダイヤモンドメディア株式会社
敷金・礼金を何か月に設定するか
賃貸物件の賃料設定はこまめに改定するものの、初期費用についてはなかなか見直しする機会が少ない。
オーナー「敷金・礼金はいくらに設定すれば良い?」
不動産屋「周辺では敷金〇か月、礼金〇か月の設定が多いのでこれに倣いましょう」
オ「更新料は?」
不「この地域では慣習になじみませんのでナシにしましょう」
近隣競合物件と比較して決定することは間違いではなく、この手法がとられることも多いが少し説明の根拠としては乏しいように思います。カンと経験で進めていく古い不動産屋の考え方は今はもう古く、全ての提案に数値の根拠をもって臨みたいところ。
全国の賃貸マンションの一時金調査結果
大変参考になるデータが公表されました。定期的に調査・公表されている「全国の賃貸マンションの一時金共同調査結果」(東急住宅リース株式会社とダイヤモンドメディア株式会社の共同調査)
僕の地元愛知に絞ってひも解いていこうと思います。
著作権があるので詳細は下記リンク参照してください。
「全国の賃貸マンションの一時金共同調査結果」東急住宅リース株式会社、ダイヤモンドメディア株式会社https://www.tokyu-housing-lease.co.jp/info/news/pdf/20200227-details.pdf
愛知県以外の方はすみません。。。上記リンクから元データを参照いただくと、各地のデータがそろっていますので初期費用設定の参考にしてみてください。
民間の賃貸住宅の健全化に資する活動は本当に尊敬します。
中部地方・愛知県のデータ
愛知県では
※敷金ゼロ物件を含んだ数値
- 敷金0.79か月
- 礼金0.16か月
- 更新料0.08か月
いかがでしょうか。敷金ゼロ物件を含んでいるものの、敷金の設定は1か月分を下回っていますね。礼金も非常に低い水準。ひと昔前と比べると、初期費用をなるべく低くして入居ハードルを下げる動きが見て取れます。
これは、保証会社との契約を条件とすることで、未納賃料を担保するために受領していた敷金の額を減らすことができるという動きの現れともいえるでしょう。
礼金ゼロとしている物件の割合は68.4%しかし、最近は”修繕分担金”などと名目を変えて、返還されない費用を求められることもありますから一概には言えません。これらの費用は同データに含まれていない可能性もあります。とはいえ、やはり現場の感覚では礼金は廃れていっています。
更新料ゼロとしている物件の割合は83.4%更新料については地域の慣習によってはっきりわかれます。愛知県エリアでは更新料ゼロの物件が多いのですが、最近は更新料をとる物件も増えてきています。
以上のように、昔に比べると初期費用を少なくする傾向がはっきりと表れています。
個人的コメント
敷金・礼金の低廉化が進んでます。このデータからわかるように、全国の時流を知ることは大変重要です。
入居時に多額に必要となる敷金礼金を少しでも抑え、ハードルを下げて新規契約を促進する動きとなってきているのでしょう。近年では保証会社との契約を条件とすることで賃料不払リスクを下げ、敷金の額を下げることができるようになってきたという側面もあります。
上記のデータからもわかるように、全国的に敷金・礼金・更新料ゼロの物件の割合は大きく、入居者からすると物件選びの際には特に重要な要素であるとともに、競合物件との差別化をはかるためには初期費用の調査・見直しをこまめに実施していかなければなりません。
かつては、敷金3か月・礼金1か月という物件もあったが、これは慣習や、他の物件も同水準であったから成り立っていただけのこと。
入居者が物件の物理的(立地的)優劣や金銭的優劣を比較しながら物件の選定を行うとするなら、リスク担保のための敷金や、諸費用に充当する思惑の礼金は、できるだけ削減していかなければならないのは当然のことかもしれません。