コロナ被害 飲食店賃料減額いくら?
(飲食テナント向け)この記事では家主が応じられる賃料減額の最大値を試算します。投資目的で購入されたビルの場合。
ビルオーナーが応じられる賃料減額の限度は?
コロナの影響で賃料減額交渉を受けたビルオーナーも多いことでしょう。減額に応じる家主も増えてきており、”いかなる理由でも賃料減額には応じない”とする方が多かった当初のムードとは変わってきていますね。
賃料減額いくら?
不動産の多くは銀行から融資を受けて購入・建築されています。元々自分で所有していた物件や全額自己資金で購入した場合を除いてはビルオーナーも毎月の借金返済が必要です。賃料収入の中から返済にまわさなきゃいけないので、賃料減額に応じられる限度があります。
ビルオーナーによって事情が異なりますが、一般的な投資指標から逆算して、だいだいどれぐらいまでならビルオーナーが減額に耐えられるかをシミュレーションしてみます。※その水準まで賃料減額交渉しましょう、という意図ではありません。家主が減額に応じるということは非常に大きな痛手を伴う決断であることを知ってください。
前提
- 投資目的で賃貸物件を購入したケースを想定
- 投資家が求める年間純利回りを6%と想定
- 飲食店1店舗のみの物件を想定
- 運営経費率を相場賃料の15%とする
- 自己資金20%投下し、残りを銀行借入とする
- 借入金利1.2% 期間20年 元利均等返済
家主が賃料減額できる限度は年間15%
この条件で試算すると、ビルオーナーの損益(収支)分岐点は84.39%。つまり、賃料減額できる限度は年間で15.61%となります。シミュレーションの内容についてご興味ある方は記事の最後に記載しておきますのでご覧ください。
別の記事で出した事例では賃料を2か月間に限り30%減額するというものでした。これを年間に直すと【減額0.3×2か月÷12か月=0.05】・・・年間5%の減額になります。
コロナ収束の目途がたたない今、ビルオーナーも賃料をどれだけ減額できるか判断しづらいですね。まずは1か月とか2か月の減額に応じたとしても、その後に「もう2か月賃料減額お願いします」と要望が入ることも十分に考えられます。
賃料減額の期間がズルズルと延びた場合、家主は何か月までなら耐えられるのでしょうか。
賃料減額を続けられる期間は最大6か月
この事例の場合、ビルオーナーは最大何か月減額を続けられるのでしょうか。
年間で15.61%以上減額してしまうと赤字になってしまいますので、上の【カッコ内】の計算式を移項して、、、【年間減額限度0.1561÷月間減額0.3×12か月=6.243か月】
前述事例の物件で月額30%減額を続けられる最大月数は最大6か月です。これ以上減額を続けると赤字になります。
ちなみに減額割合をかえると、
減額20%→最大9か月
減額30%→最大6か月
減額40%→最大4か月
減額50%→最大3か月
以上は、銀行の融資を受けて賃貸不動産を取得したケースの1例です。融資条件や融資比率によって変動しますのでご注意を。
あくまでビルオーナーが対応できる最大値です。この記事を見せて「ここまで減額できるでしょ」ていう交渉はやめてくださいねw
「賃料半額にして」「賃料免除して」などと軽く言う方もいますが、家主にとって賃料減額は非常に大きな決断であることをテナントさんもご理解ください。
シミュレーション
ビルオーナーから見た収益構造
飲食店1店舗のみが入っている不動産の場合。月額賃料50万円 経費率15% 投資家が期待する利回り6%(純利益÷物件価格)→物件価格8,500万円自己資金20%を投下 (年間)賃料収入 6,000,000円(月額賃料500,000円×12か月)運営経費 ▲900,000円(経費率15%) 純利益 5,100,000円 借入返済 ▲4,163,580円 手残りキャッシュ 936,420円(税引前) 物件購入価格 8,500万円 購入時経費 600万円 自己資金 1,700万円 借入額 7,400万円 融資条件金利1.2% 期間20年 毎月の返済額 346,965円 年間の返済額 4,163,580円 収支分岐点 5,063,580円 (運営経費+返済)5,063,580円÷本来の賃料6,000,000=84.39% 収支の分岐点が84.39%賃料収入がこれを下回ると赤字。この場合、賃料の減額幅は15.61%が限度