名古屋市におけるマンション管理計画認定制度

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2022/03/31
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不動産管理
抜粋
「このマンションは管理計画認定を受けています」
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#マンション管理適正化計画 #マンション管理計画認定制度
 

マンション管理計画認定制度とは

令和4年4月1日から新しいマンションの管理認定制度がはじまります。
他の団体が実施する評価サービスもありますが、ここでは都道府県等の認定について記載しています。
認定の申請をするべきか迷っている方、管理組合で検討されている方、不動産管理会社の方、自分の住んでいるマンションに不満がある方、少しでも参考になれば幸いです^^
 

管理計画認定制度のざっくり解説

※用語は簡素化して表記しています。
マンション管理適正化法の改正によって令和4年4月1日からマンション管理計画認定制度がはじまります。(国土交通省が基本的な指針を定めた)
 
都道府県・市区等は国の基本方針に基づいて推進計画を作成し指針を定める。これにより、マンション管理が適正であるかどうかの認定制度がはじまります。国の指針に加えて独自の指針を定めることも可能。
 
認定制度の対象となるのは、都道府県等が「マンション管理適正化推進計画」を作成している地域にある既存のマンション(中古の分譲マンション)です。
なので、推進計画が作成されていないエリアのマンションでは認定制度を利用できません。
 
認定されたマンションのメリットは、 ・管理水準の維持,向上 ・利用者の管理意識の向上 ・外部に公表することで物件価格の維持,向上が期待できる。 ・購入検討者が管理状況を知ることができる。購入の検討材料となる。 ・住宅ローンの金利優遇が受けられる。
 
まだ新しい制度のため、世間のどれだけのマンションが対応するかは不明ですが、少なくとも今後の新築マンションではスタンダードになると思います。この認定制度が認知され、多くのマンションで採用されていったとすると、認定をとっていないマンションは中古売買の市場で悪い影響が出てくるかもしれません。

名古屋市の独自基準では・・・

認定の申請開始時期 令和4年4月1日から受付開始
 
認定基準 管理組合の運営、管理規約、管理組合の経理、長期修繕計画の作成及び見直し等は、国が定める認定基準のとおり。 名古屋市が独自に追加する認定基準は次の2点
  • 災害時、居住者の安否確認方法の定めがある
  • 町内の自治会との連絡窓口がある
 

国が定める認定基準

マンションの管理組合は、自らのマンションの管理計画を、推進計画を作成した都道府県等の長に提出し、一定の基準を満たす場合、計画作成都道府県知事等による認定を受けることが可能である。
 
管理計画認定の事前確認
認定制度の申請手続きは、(公財)マンション管理センターによる管理計画認定手続支援サービスを導入し、管理者等による認定申請の円滑化及び計画作成都道府県等における審査事務負担の軽減を図ることとしている。
認定を受けたい場合は、先にマンション管理センターで事前確認を受け、適合証を都道府県等に提出する。
※名古屋市の場合、このマンション管理センターによる事前確認適合証が必要。事前確認を利用せず、直接名古屋市に計画を申請することはできないようです。
 
下記はマンション管理センターの認定基準
 
マンション管理センター
マンション管理センター
 
上記の表で重要なのは、(4)長期修繕計画~です。 積立金が足らずに修繕が行えなくなり、適正な管理ができなくなることを国は懸念しており、実際、長期修繕工事が十分に計画されていないマンションも多いのが現状です。
 
ためしに、僕が社宅として住んでいる分譲マンション(名古屋市都心部中古マンション 総60戸)を例にとって比較してみます。マンション管理の参考になれば幸いです。
 

(4)長期修繕計画の作成及び見直し等

下記は認定基準と、それに対する僕が住んでいるマンションの現状。ちなみに管理会社はそれなりの大手です。
 
①長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠し作成され、長期修繕計画の内容及びこれに基づき算定された修繕積立金額について集会にて決議されていること
→国交省の定める標準様式に準拠しています。しかし、長期修繕計画に基づいた修繕積立金額ではないようです。(たとえば計画期間中の総修繕費÷面積÷12か月=㎡あたりの積立金(月)と設定するなど)はるか昔に決められた修繕積立金がそのまま変更されず毎年同額で継続されています。集会での決議も同様に昨年と同額として継続しています。→判定:×
コメント:この項は、将来生じる多額の修繕工事費を積立金でまかなえるか、という点をはかるものです。管理意識の低い区分所有者は毎月の負担となる修繕積立金が増額されることを嫌がりますが、何も対策をしないままでいると将来積立金が不足しているから雨漏りも直せないなんて状況に陥ります。非常に重要な項目です。
 
②長期修繕計画の作成又は見直しが7年以内に行われていること
→長期修繕計画の見直しがされたところを見たことがありません。修繕時期の直前になって管理会社が提案し、その時点で修繕する箇所のみの見積もりを取得する運営がされています。→判定:×
コメント:使用状況や市況によって工事頻度や費用は変動します。変動に対応すべく計画の見直しを7年以内に行うことを推奨している内容です。そもそも見直しを行っていない管理組合も多いと思います。また、7年に一度見直しをすればよいというものでもなく、頻繁に見直ししましょうというのが国の方針だと思います。長期修繕計画そのものが無いマンションもあります。もし認定を受けて継続的に維持していくなら更新期間にあわせて5年に一度の計画見直しを行ってはいかがでしょうか。
 
③長期修繕計画の実効性を確保するため、計画期間が30年以上で、かつ、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれるように設定されていること
→計画期間30年の長期修繕計画はあり、修繕工事が2回含まれています。→判定:〇
コメント:30年で2回以上ということは少なくとも15年に1度の実施を推奨していることになります。実際の現場では、建物劣化状況を調査しながらあえて繰延することもあります。しかし、計画上は上記のとおりにしておくとよいでしょう。
 
④長期修繕計画において将来の一次的な修繕積立金の徴収を予定していないこと
→将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していない。というよりも無頓着。→判定:〇
コメント:工事費が足りないので区分所有者から毎月の積立金とは別に追加で修繕費を徴収する予定がある、というケースです。この項目は判定に注意が必要ですね。意識の低い管理会社は将来の修繕計画を策定していない場合があるため、そもそもいくらかかるか認識していない、いくら追加徴収すればよいか認識していない。この場合も「一時的な徴収を予定していない」ことになってしまいます。適正な管理計画としては、将来かかる費用を見越して毎月の修繕積立金に反映し(増額して)将来の工事に備えるべきです。また、一時的な徴収とは、たとえば大規模修繕実施の前後2年間だけ増額した(計算のルールあり)場合も該当します。
 
⑤長期修繕計画の計画期間の最終年度において、借入金の残高のない長期修繕計画となっていること
→借入金の残高のない計画になっている。→判定:〇
コメント:これも前項と同様に計画が策定されていないことにより「借入金の想定がない」状態の場合もあります。
 
認定要件の文面その通りに当てはめた場合、はからずも適合してしまう項目がありました。まだ新しい制度のため、個々の項目をどのように適合判定していくのかわかりませんが、既存マンションの管理組合は(認定制度を取得するかは別としても)認定要件に適合していくように準備を進めていくべきだと思います。

賃貸マンションにも流用できるか

この認定制度は分譲マンション等の管理組合が主体となって申請するものです。つまり、オーナーが単独である賃貸マンションは制度の対象外となります。
国は、マンションの管理状況がヤバい!としてこの制度をつくりました。単独オーナーの賃貸マンションと違って、分譲マンションはオーナーが何人もいるので一人ひとりの管理意識が低く、管理計画がおざなりになっているマンションが多いのです。でも賃貸マンションであっても管理がうまくできていない物件ありますよね。
せっかく国が管理計画の指針をつくってくれたのだから、賃貸マンションの管理にも参考にできるものはないか模索してみます。
 
国の制度上、マンション管理士のみが受講できる「事前確認講習」を修了した者だけが、前記の事前確認を実施できるようです。
 
ということで、僕も指定講習に申し込んでみました。修了試験もあるみたいなので気が抜けません。事前確認業務を仕事としてするつもりは今のところありませんが、管理の勉強として受講してみます。
 

事前確認講習を受けてみて

やはり、、、認定基準となる項目のうち、長期修繕計画の項目に重点が置かれているように見受けられます。管理規約や管理者の基準は多くのマンションでクリアできるような内容ですが、長期修繕計画に関する基準はクリアできないマンションも多いことでしょう。
管理組合を構成する区分所有者の皆さんは素人の集まりです。長期的な視点をもってお金を積み立てていかないといつかゴーストマンションになってしまいます(僕も不動産売買で何度も見てきています)。そうならないために、プロが筋道をたててあげないといけないと強く感じました。管理会社やマンション管理士の使命は、みなさんを正しい方向へ導いてあげることかもしれません。

認定申請するべきか・・・

ちょっと気になったことをリストにしておきます。僕もまだ勉強中なので随時更新していきます。記載の内容には責任もてませんのでご自身で判断してください。
  • 認定後にマンションの情報をセンターの閲覧専用ページで公開できる。マンション名や住所、認定番号など。→なんのために認定をとるのかはっきりさせておくこと。管理意識の向上だけなら公開しなくてもよいという判断もあるかもしれないし、市場での価値増加を狙うなら公開した方がよいと思います。集会で決議するときにこれらの方針を明示しておいたほうがよさそうですね。後でなんで公開するんだ!ってなってもいけませんので。
  • この認定制度以外にも、民間の評価制度がある。マンション管理業協会の「マンション管理適正評価制度」や日本マンション管理士連合会の「マンション適正化診断サービス」です。これらは国の基準とは別に、もっと細分化された基準であったり、追加の基準があります。つまり、国の認定基準を補足するイメージですね。国(実際は都道府県)の認定は認定されるかされないかの「〇×」に対し、これら民間の制度は評点式になっています。通信簿のようなものです。この評価を受けることによって、「このマンションは星5つです」とマンションの市場価値の増加を見込むことができます。とはいっても、まだこの評点に対する市場での重要性はわかりませんし、国の制度が5年更新であるのに対し、1年更新であったりと、かかる時間、手間、費用がこれに見合うものかどうかは見極める必要がありそうです。
  • 都道府県の認定を受けたその後の運用についても事前に方針を定めておくとよいかもしれません。5年に一度更新作業が必要になるし、認定を受けた管理計画を変更するときには「変更認定申請」が必要になるようです(軽微な変更を除く)。複数の管理者がいる場合で、その一部の管理者の変更は軽微な変更となるようですが、認定当時の管理者等がすべて管理者等でなくなる場合には、変更の認定が必要になるそうです。 管理者等とは?→区分所有法第25条第1項の規定により選任された~(管理法人の場合の説明は割愛します)管理者→第二十五条 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。→通常は理事長のこと。 この軽微な変更の範囲は下記のように定められています。”軽微な変更”ではない変更があったときは変更の認定の申請が必要になります。これがどれくらいの頻度で起こるのか想定したいです。
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認定をとろうとするなら現在の管理状況で申請してみるのではなく、認定が受けられるように少しずつ改善していくというイメージが近い。いざ認定を受けようと思ってもすぐにはできないことも多いでしょう。日頃からマンション管理士等の専門家に相談しながらコツコツと改善していきましょう。みなさんは基準の内容を知ることから始めてみては。