飲食店舗から事務所仕様へコンバージョン

 
 
コロナの影響で名古屋市内でもオフィスの空室率上昇(解約予定多数)、飲食店の閉業多数。
 
オフィスはリモート化によって「こんなにも面積いらないじゃん」と気づき、在宅勤務や交代勤務などが一般化してきました。当社でもいくつか床面積減少に伴う退去通知を受けています。
 
その中でも飲食店用の物件は大変苦戦を強いられており、今のこの状況で飲食店の新規開業は極端に少ないと感じています。ビルオーナーの中には今回のコロナ禍によって「飲食店に貸すこと自体をリスク」ととらえる人も増えてきているのではないでしょうか。
 
この度、やむを得ず閉店を決めた飲食店の次のテナントが決まりました。飲食店ではなく事務所仕様。従前の飲食店の設備を承継して一部工事で手を加えて事務所として再スタートです。元々店舗物件であったため少々調整が必要でした。主なものは次の通り。
 

厨房の取扱い

油を使用していたので飲食店独特の油のにおいあり。新店舗は厨房を撤去する予定なのでいくらかましになると思いますが要経過観察ですね。必ず内覧時に指摘して容認いただきます。厨房内にグリストラップという設備が埋まっていることがあるので、この点も指摘。同設備が残置していることを説明し容認いただく。厨房まわりは給排水、空調ドレン、給排気などの経路も先に調査かけました。排水管内部にも油がこびりついている場合があるので高圧洗浄を実施。店舗の配管を残して引き継ぐため、今後も定期的に配管清掃をすることにご了承いただきました。

店内内装・備品

店内の備品は引渡し前までに全て撤去処分。店内ががらんどうでしたが造り付けの椅子や設備は残ったままとなっています。飲食店が閉店するときは設備譲渡(居抜き)で次の方に引き継ぐ場合があります。この物件も前の前の飲食店から引き継いでいる設備があるため、次の借主に説明。見た目にはわからないところに前の前の店舗の設備が埋め込まれていることがあるので注意。ダムウェーターを閉じこんでいたり、掘りごたつを閉じこんで床を貼っていたり。いつか解体したときに中から得体のしれない設備が発掘されるかもしれません。管理会社としてはこれらの情報も記録に残しておいて、新たな契約の時には細かく説明したいものです。

費用負担

通常の事務所仕様の物件は、事務所内装が最初から用意されていて、エアコンや天井照明などもついています。一方、店舗はスケルトン仕様(内装設備がないコンクリ下地むきだしの状態)であることが多いので、事務所として貸す場合は、貸主側で事務所設備を整えるか、または貸主側負担で工事していただくことになります。入居中に設備が壊れた場合の取扱いについても明確にしておくとよいでしょう。

設備譲渡契約

今回は店内設備を旧借主から新借主に譲渡する契約もセットで行いました。残すべきものを撤去してしまったり、必要のないものが残っていたり。もめる元になるので賃貸借契約書とは別に設備譲渡契約書を作成します。
 
設備の一覧表を作成し、引渡時までに撤去するもの、残置するもの、数量、箇所などを明記しておきます。この表を作成するだけでも何度も現地調査を行い、双方立ち会いで協議修正を重ねます。表だけでは間違いがあるといけないので写真一覧も作成しました。個別に補足説明も記載し、撤去するものと残置するものをわかりやすくしておきます。

店内工事

引き継いだ設備や造作に一部手をかけて新たな内装につくりかえます。壁の一部を撤去する場合など、解体工事時には粉塵が発生するので他のテナントに迷惑がかからないように実施する必要があります。店舗ビルなどでは、天井裏で隣の区画とつながっている場合があります。解体時の粉塵、煙が天井裏を通ってとなりの飲食店にはいっていくと営業できなくなってしまうため、営業補償等の問題にもなりかねません。その他にも音やにおいの問題も生じるので、あらかじめ他テナントと相談したり、業者への指示を行います。
今回は空室期間なく、スムーズに新規契約、引渡しを終えることができました。新規出店者が少ないこの情勢に、大変ありがたいことです。どんな事務所ができあがあるか楽しみです^^
店舗物件から事務所仕様に変更したいとお考えの方はお気軽にご連絡くださいね^^
 
居抜き、権利譲渡、飲食店から事務所へ、設備譲渡などの契約は特に注意してください。