TDB景気動向【不動産関連抜粋】
帝国データバンクから2月の景気動向調査が公表されましたので、資料の中から要点をピックアップし不動産業界に関係の深い内容を中心に記載しました。当サイト管理者のコメントも含んでいます。
まとめ
- 2020年2月の景気DIは前月比3.2ポイントとマイナスで5か月連続で悪化
- 国内景気は後退局面+新型コロナの影響で大幅悪化。
- 今後もリスク要因多く、緩やかな後退が続くとみられる。
- すべての業態で悪化。
- 特に「製造」が10か月連続で悪化。「卸売」「運輸・倉庫」「サービス」も大幅に悪化。
- 今後は新型コロナの広がり・収束が景気を左右する。
- 5G、東京五輪は好材料。
調査時点のコメント
製造業
新型コロナで中国の製造業の生産ラインが停止。不動産業界の現場ではトイレ、キッチン、エアコンなどの住宅設備が入手できず、新築やリノベ物件の完成が遅れている。知人からの情報では3月に完成できない物件もあるとのことで、新入生、新入社員の入居時期に影響が出るかもしれない。
サービス
特に注目したいのは「旅館・ホテル」宿泊予約のキャンセルが相次ぎ、調査開始以降で最大の悪化幅とのこと。国内インバウンドを見越して各地で相次ぎ新築されたホテルに大打撃。不動産業界の現場ではホテル一棟売り情報が最近増えてきている。当地愛知でもまだ新築ホテルの計画があると聞いているが、この逆風の中、新規開業の動きも注視したい。
「飲食店」「娯楽サービス(フィットネスクラブ含む)」については皆さんもご承知の通り。当地の繁華街でも人の数は少ない。また、仕事で某ショッピングセンターへ行った時は人の少なさに驚いた。まったく人がいないわけではないが、必要最小限の外出に留めている様子。SC内のスーパーには客がいたが、フードコートやレストランエリアにはランチタイムでも人はまばらだった。
知人の飲食経営者の話では一人も客が入らないこともしばしば。不動産業界の現場では、賃料の減額交渉も入ってきている。また、閉業の連絡も受けている。飲食店の退店後、新規の募集を開始するにしても、このタイミングでは新規出店者は見込めない。あるいは賃料条件が大幅に下がる可能性がある。契約中の飲食店、新規の飲食店とも、一時的な賃料条件の優遇をすることも(貸主にとっての)検討するべきかもしれない。補助金等も出始めてきているので合わせて提案・検討する。
業界別アンケート(先行き)
建設
〇5G需要により通信工事は良い〇国内公共事業は引き続き良い×住宅設備の生産ストップの影響で工事延期や着工保留が考えられる×建売住宅、マンション、宿泊施設が過剰供給。今後に悪影響か。
不動産
×消費税引き上げの支援策が終了すると冷え込みそう(建売・売買)×コロナの影響でクライアントの収支悪化。単価改定の影響が懸念される(不動産管理)×売買価格は依然高止まり。供給に大幅な改善は見込まれない。
小売
×消費者還元制度の終了後の反動減が読めない。×購買意欲の低下+コロナ+五輪後の反動を考慮すると悪い判断にならざるを得ない×コロナ影響で工場の操業が停止し商品が入荷できない。
運輸・倉庫
〇五輪関係の仕事の増加×消費税率引き上げの影響が継続する。×コロナ収束の気配が見えない。五輪中止になれば景気はさらに悪化するだろう。×市況が上昇する好材料がない(貨物運送)
サービス
〇無人化に関する労働集約型・コールセンター関係はニーズ高い〇IT関係は今後も案件が減る気配はない。×クライアントが広告宣伝に回す余裕がなくなってきている×コロナの影響で客足が落ちる
いつも言いますが、ネガティブな情報を出して悲観的にさせる意図はありません。不動産業界はいろんな業種との関わり合いが強いため、先行き景気や市況動向には注意しておかなければなりません。良いニュースも悪いニュースも覚悟して仕事に臨みます。リスク(上振れも下振れも含め)が想定できていれば対応も変わってくると思います。
そもそも、(コロナが無かったとしても)今年~来年は”潮目が変わる”肌感だったので。。。