賃貸マンションの大規模修繕費を積み立てて経費にする

 

賃貸住宅の大規模修繕費用を経費として計上

全国賃貸住宅新聞さんの記事で興味深いものがありました。
まだ実現の時期は未定のようですが、”賃貸マンションの大規模修繕費用を積み立てて損金にできる”ように業界3団体が動いているようです。
分譲マンションなどは将来実施する大規模修繕のための費用を月割にして毎月管理費とあわせて管理組合に支払っていますよね。これは実際には修繕の予算として管理組合に積み立てられているわけですが、支払った積立金は、”修繕を実施していないのに”損金(経費)にできることとされています(要件あり)。なので、分譲マンションを賃貸に出している人は賃料収入から経費を差し引くことができます(その分税金が安くなります)。
一方、賃貸マンションでは積立金を損金にすることはできず(間接的に積み立てて経費にする方法はあるにしても・・・)、実際に修繕をしたときに経費として計上します。いざ修繕をしようとすると”お金がない”と頭をかかえるオーナーさんも多くいますね。毎月積み立てていけばよいのですが、ほかの投資に回したり使っちゃったりして手元にキャッシュが無いなんてことになります。
賃貸マンションオーナーを対象とした「大規模修繕を実施していない理由」アンケートでは実に28%もの人が資金的余裕がないから修繕しないと答えています。

共済制度により修繕費を全額損金算入できるようになる!

現在、3団体で具体的な内容を検討しているようですが、すでに共済制度自体の認可はおりているようです。続報を待ちます。

要件は?

分譲マンションの修繕積立金は損金になりますが、一応要件があります。
  • 区分所有者となった者は、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負うことになること
  • 管理組合は、支払を受けた修繕積立金について、区分所有者への返還義務を有しないこと
  • 修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されるものでないこと
  • 修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法により算出されていること
これらのルールにあわせるとすると、「定額積立」「引き出しできない」「使用用途は修繕に限る」「修繕計画が策定されていること」などの要件がつけられると予想。あと疑問なのは、賃貸マンションを売却するときの扱い。分譲マンションの場合は自分が積み立てたお金は帰ってきません。お金が帰ってこないからこそ損金計上してよいという理屈だと思います。このあたりの取り扱いはどうなるんでしょうかね。相続したときは?

修繕計画が重要

長期修繕計画が策定されていることが要件になったらどうなるでしょう。建築士やホームインスペクターなどの専門家に依頼するニーズも増えるかもしれませんね。実際に修繕計画を作成するのには結構手間がかかります。しっかりとした計画を作ろうと思うと費用もかかります。
先日、建物面積から長期修繕計画を自動で計算するソフトを購入したばかりなので、時間つくって練習しておきます^^
いずれにしても、この制度の動向は要チェックです。続報が入ったら記事更新しますね^^