名古屋不動産利回り調査

date
2022/03/25
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不動産売買
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抜粋
唯一の「名古屋圏利回り調査」
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名古屋商工会議所×愛知県不動産鑑定士協会の恒例利回り調査の報告会がありました。会の最後に都市再開発促進協議会の方がおっしゃった「ベンチマークをつくることはお金を呼び込むためにも非常に重要」という言葉に感銘を受けました。日本国内向けのみならず海外からのマネー流入のためにもこのような公開指標は重要な意味を持ちます。
 
2022/03/25 更新  2022/04/04 更新 個別コメント要約を追加しました。
 
 
この調査は、名古屋圏に絞った利回り調査としては唯一のものです。
賃貸マンションやオフィスビルなどの価格査定をするときに「利回り」という概念をもとに価格を算出します。ではこの利回りっていくらで計算すればよいの?どこにその情報あるの?となるのですが、指標になるものが無いのが現状です。そんななかでこの利回り調査の結果は非常に参考になります。価格査定するときには、その根拠を示さなければなりません。「このエリアでこの築年ならだいたい6%ぐらいですね」ではダメなのです。
 
第14回となる今回の報告を紐解いていきたいと思います。
年1回のこの調査は不動産のプロを対象としたアンケートで構成されており、昨年からは一般の個人投資家の回答も含んでいます。
例年、時流に沿ったトピックも追加されますが、今年はESG投資、SDGsに対する設問が増えました。
 
💡
以下はアンケートの集計結果であり、主催者側の見解ではないことに注意
 
 
もくじ
 

名古屋の不動産投資市場の現状

名古屋の不動産市場の現状について:良い74%
どちらかといえば良い63%+良い11%=74% 昨年から15%回復。
名古屋の不動産市場は今後どのように推移すると考えるか
横ばい60%、よくなる25%
 
良くなる背景について、アジア大会の開催、リニア開業、製造業好調、首都圏関西圏からの投資拡大などが理由にあがっています。一方でリニア開業時期の不透明感や先行き不透明感を感じる方も。名古屋圏外からの回答でもリニア開通、栄地区再開発が注目されています。

名古屋の不動産で魅力的な投資先

1位:物流施設・倉庫 31%
昨年に続きトップだが4%低下。実務でも同様の相談は多く供給側も鼻息荒い感じです。調整区域農地に大型物流を誘致したり、その周辺地主が我も我もと追従して大きな土地が水面下で動いています。一方、デベロッパー系の方の話では物流もそろそろ厳しくなってきたという声も出始めています。
昨年3位のオフィスビルと5位の郊外商業施設は同順位ながら若干の改善あり。ホテル系は今回も厳しいようです。

投資不動産のエリア分散について

このテーマは割愛します。アンケート対象が名古屋在住の方の比率が高いため、どうしても名古屋の比率が高くなってしまいます。名古屋圏外の回答数も不足しているのであくまで参考程度に。

1-1 オフィスビルの利回り

オフィスに限らず全ジャンルにおいて、まだまだ下がるか、、、という感じです。
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昨年はコロナの影響もあり、横ばいか一部で若干の上昇。今回は対象エリア全てで低下となりました。(低下≒不動産価格の上昇)
4%と聞いてどう思いますか? 上にも書いたとおりアンケート対象がプロ向けなので、個人投資家が求める水準とは乖離があると感じるかもしれません。回答者は不動産プロ、建設会社、金融証券、不動産鑑定士が多くを占めます。したがって取り扱う規模も大きく、築古高利回りみたいな物件は想定されていないといえます。また、規模が大きいことにより純粋に利回りだけでは測れないという側面もあります。100億の4%と1億の8%では金額が大きく異なりますし(資本蓄積)、調達金利もことなります。ここでは言及を避けますがプレイヤー、投資規模によって求める利回り求める物件が違うということは把握しておいてください。

1-2 オフィスビルの将来性

次は、DIという指標で将来性をはかったアンケート結果です。
DIは、プラスであれば将来性があり、マイナスであれば将来性に乏しいと”考えている人が多い”ということです。
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名駅(赤)栄(青)伏見丸の内(黄)金山(緑)のエリアのうち、金山の将来性が大きくマイナスにふれています。2年連続の低下です。金山も大きな再開発控えているんですけどね、、、名駅、栄は堅調。伏見丸の内のビジネス街はフラットまで持ち直してきたというところでしょうか。

2-1 都心商業施設、郊外商業施設

このテーマは割愛します。これらを投資対象とする人は限られているので別の機会に。イメージはイオンやららぽーと等の施設です。利回りは低下傾向です。
※ここにはコンビニやドラッグストアなどの収益土地は含みません。

3-1 ワンルームマンションの利回り

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下がってます。4.3%~4.7%水準。もちろん好立地、ハイグレードの想定を多く含んでいるでしょうから、一般の方はあくまで参考にとどめてください。
それを裏付けるような面白いデータが見られました。前回から個人投資家もアンケートに参加していますが、個人投資家のデータのみを抽出したのが下記。
 
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全体のグラフと異なりすべてのエリアで利回りが上昇(≒価格が低下)となっています。個人投資家の「安く買いたい」という思惑が反映されているのではないでしょうか。純利回りで8%は表面利回り10%の水準です(自分が買うなら、という期待利回りで回答しているのでは・・・)。個人投資家のデータを含めると集計結果に影響を及ぼすので別集計にしているみたいですね。ファンド系規模の物件を日常的に取引するわけではない当社のような不動産業者にはこちらの方が参考になったりもしますw

3-2 ワンルームの将来性

将来性DIについては個人投資家さんも参考にできます。
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名駅(赤)都心部(青)都心部外縁(黄)東部(緑)
いかがでしょう。名駅および都心部ではプラス(将来性あり)ではあるものの、低下しています。名駅周辺は5年連続の低下です。
個人投資家にはワンルーム投資している方も多いでしょう。この指標は引き続き注視していきたいところです。

4-1 ファミリーマンションの利回り

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同じく低下しています。名駅(赤)はこの数年5.2%~4.9%と5%前後の動きでしたが、昨年4.75%、今回4.2%とここにきて大幅な低下を見せています。利回りの低下は期待の表れかもしれません。名古屋駅周辺のファミリーマンションはイケる!(利回り低くても売れる)という肌感覚なのでしょうか。
非常に興味深い結果です。

4-2 ファミリーマンションの将来性

ファミリーマンションの将来性DI
ファミリーマンションの将来性DI
利回りは大きく低下していましたが、この5年間を並べて見ると将来性DIの数値は(プラスであるものの)低下傾向にあります。それでも全てのエリアでプラスを維持しています。
 
ワンルームと比較してみましょう。
ワンルームの将来性DI
ワンルームの将来性DI
 
「ファミリーマンションは将来性あるけど、ワンルームは将来性に乏しい」と回答しているのです。不動産プレーヤーの肌感覚が反映されているはずですから、現場では「ワンルームマンションの供給過多」あるいは「単身ニーズの低下」が起こっているのかもしれません。実際に現場では、学生のオンライン授業や、リモートワーク定着による郊外への引っ越しなどの影響があります。敏感に感じ取った結果が反映されているのかもしれません。
 
ちなみに・・・
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本日時点の募集中ワンルーム(1R.1K)
 
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本日時点の募集中ファミリー(2LDK~5LDK)
※1LDKは比較の邪魔になるので除外してます。

5-1 物流施設・倉庫の利回り

こちらは割愛します。投資規模が大きいので誰もが投資対象になるものではありませんが、全エリアで低下し続けています。直近10年で最も低い水準(4.5%~5%)

5-2 物流施設・倉庫の将来性

ざっくりしたイメージのみお伝えします。
日本有数の工業港である港湾岸部では4年連続でDI上昇。尾張地区(一宮、小牧)も強い。物流施設・倉庫の将来性としては、名古屋港、尾張、三河に集中しており、その他エリアはマイナス。

6-1 ビジネスホテルの利回り

個人投資家にはハードルが高い投資先ですが、不動産業者からすると注視していきたいジャンルです。特に名古屋は観光が弱いので圏外からみたイメージは把握しておきたいところです。外資からの視点も同様です。
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過去10年の推移です。コロナの影響が最も大きかった業態といえます。ずっと利回り低下を続けていたところ、コロナ前に横ばいになり、コロナで追い打ち。(ちなみにコロナに関係なく、全国的にホテルの供給過多は懸念されていました。京都とか大阪とか)
昨年大きく上昇した利回りは低下へ転じて5%まで戻しました。これは一体どういうことなんでしょう。ホテルへの投資マネーが戻ってきているのか、コロナが落ち着いてきたことからの期待の表れなのか。この数年、名古屋市内でもホテル用地として見込んだ大型土地が空振りして残ったままになっているものがありました。確かにあそこもあそこも売れたって聞いたし、復調していっているのでしょうか。

6-2 ビジネスホテルの将来性

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ぽっかりとあいた2020年。未曾有のウイルス被害に皆が恐れ、まさにホテル業界の危機でした。
名古屋駅周辺のホテルへの期待はリニア開通によるニーズ増加も加味しているはずです。しかし、リニア開業時期はいまだ不透明であり、またリニアが悪い影響を与える可能性もあるため、今後ブレが大きくなりそうな指標です。あくまで参考まで。

7-1 底地投資の考え方

底地とは、例えばドラッグストアやコンビニなどに事業用定期借地権設定により土地を貸出し、地代収益を生む物件のことです。
この調査は4年ほど前から追加されました。
底地投資に積極的か
(最多回答割合) 東京圏の底地・・・やや積極的に投資24% 大阪圏の底地・・・投資対象外29% 名古屋圏の底地・・どちらともいえない31%
収益底地物件に対しては積極的に投資したいという割合が低いようです。
 
個人的には好きなジャンルですが、いろいろ細分化されているのでボリュームが大きくなってしまうため本記事では詳細割愛します。
なお、「地主リート」に代表されるようにファンド等でも取得するところが増えてきているようです。

7-2 底地投資の利回り

商業地 名古屋市中心部・・・・・・・・・・4% 名古屋市内、周辺の主要幹線沿い・・4%
物流用地 名古屋港湾岸部(物流向け)・・・・4% 愛知県内(一宮、小牧)・・・・・・4.5% 岐阜県南部・・・・・・・・・・・・5% 三重県北部・・・・・・・・・・・・5%
 
一般的に底地物件は、その他の物件と比較して利回りが低くなる傾向があります。建物や設備が不要であることや、維持コストがほとんどかからないためです。(説明になってませんね。詳細はあらためてw)

あとがき

長くなりましたが以上となります。これでも一部を抜粋しただけで他にも参考になる情報がもりだくさんです。
 
このほかに、
  • コロナ前の状態に回復するまでどれぐらいの期間を要するか(ジャンル別)
  • 名駅、栄、金山地区は今後どのような特色を持った街づくりをすべきか
  • 各地区にどのような施設を求めるか
  • ウォーカブル施策についてどう思うか、どのエリアに必要か
  • ESG、SDGsへの取り組みはどうなると思うか
  • 今後の名古屋の不動産市場についての自由意見
ご興味ある方はご連絡くださいね。
 
街づくり、政策提言から自由意見まで、不動産に関わる皆さんがどのように考えているか、今どんなトピックが話題になっているかなどみっちり勉強させていただきました。
 
金曜日の夜だっていうのに何も予定もないので復習を兼ねてまとめてみました(涙
 

名古屋の不動産市場の今後(フリーコメント)

2022/4/5更新 不動産のプロたちのコメントを抜粋して名古屋の今後を読み解きます。